「ミニ脳」モデル:脳疾患の研究と治療を推進する

日本の研究者は神経細胞を利用して「脳系器官」を育成し、これをモデルに脳のメカニズムを探索し、アルツハイマー病などの脳疾患に対する治療法を開発している。

技術開発の進展:東京大学の池内与志穂教授のチームは2024年に複数の脳系器官間の軸索の秩序ある接続を成功させ、同期した複雑な電気信号を発することを観測した。また、NTT物性科学基礎研究所は、神経細胞をグラフェンで包み、70日間にわたって安定した活動を続けることができる3次元組織を構築する新しい方法を開発した。

疾病モデルと薬物スクリーニングへの応用:慶応義塾大学の岡野栄之教授のチームはアルツハイマー病患者のiPS細胞を用いて脳系器官を育成し、このモデルはβアミロイド沈着とタウ蛋白凝集の2つの疾病発生の鍵となる過程を再現することに成功した。これは病気のメカニズムの解析に役立つだけでなく、治療薬のスクリーニングにも新しいプラットフォームを提供している。